■ものがたり



「それ」に名前をつけてはいけない。

「それ」はありとあらゆる生物の中で一番人間に近い。

しかし「それ」は人間ではない。


いきすぎた文明のあだとなった世界。
人々は地上を捨て、地下世界「カタコンベ」に籠り自らの寿命を延ばす研究に明け暮れていた。
数ある研究機関の検体であるテオドールは、死亡した高名な科学者の遺伝子パターンを組み込まれる為に育てられたが、
自らの存在に疑問を持ち、元研究員であるミユキと共に地下世界を捨てる。
汚染にまみれたはずの地上で辿り着いたのは廃墟の遊園地だった。

「古の遊園地へようこそ」

何事もないように平和に暮らす人々。

レストランのオーナー兼料理人、エミリオ。
ウェトレスであり、遊園地の管理人、ヴァージニア。
ティーポットを首から下げた不思議な少女、トスカ。
車椅子に乗った無口な男、イアン。

テオドールとミユキがそこで見たものとは…?